私は労働行政機関で数年間勤務した経験があり、2千人以上の労働者から労働相談を受けましたが、その中には、「上司である課長が全く私の仕事内容を把握せずに指示を出してくることに困っています。」というものや「お局社員がやりたい放題に振る舞っていて困っているのですが、課長はその社員の機嫌を損ねると仕事をしてもらえなくなることを恐れて何も言えないでいます。どうすればいいでしょうか。」というもの、またある労働者は、「上司から目標を書けと言われているのですが意味が分からず、上司に質問したところ、『俺も分からない、とりあえず書け』と言われました。」といった類の相談を受けました。

　これらはいずれも企業のマネジメントの仕組みが機能していないことを示しています。

　部下を指導するということは大変なことです。“いかに指示したことをきちんと実行させるか”“いかに自発的に行動させるか”“いかに期待する成果を上げさせるか”を考えて、効果的なアプローチをしなければなりません。なかには、素直に指示に従わない反抗的な部下もいるでしょう。いくら教えても物覚えの悪い部下もいます。そうした様々な個性や適性を持った部下を活用していくためには、しっかりとしたマネジメントの仕組みが無くてはなりません。